今日の社説

2017/01/19 01:22

無電柱化推進法 低コスト工法に期待したい

 昨年末に成立・施行された「無電柱化推進法」は、市街地の防災機能強化と歩行環境の改善を後押しする有効な手段になる。北陸においては、歴史的な景観を保全し、都市の品格を高める役割を果たすだろう。

 私たちは、2003年10月に無電柱化の推進を主張して以降、折に触れて必要性を訴えてきた。県や金沢市、高岡市などの自治体もこれに呼応するように無電柱化事業に積極的に取り組み、金沢市の「東山ひがし重伝建」(重要伝統的建造物群保存地区)地区や長町の武家居屋敷周辺のほか、高岡市の歴史的な山町筋や輪島市の朝市通り、山中温泉のゆげ街道などで無電柱化工事が進められてきた。

 クモの巣のように道路上に張られた電線と林立する電信柱は極めて日本的な都市景観の一つである。電柱・電線が街の景観を損なうという感覚は、日本では欧米に比べて著しく遅れている。美しい景観を維持することは、暮らしやすさや安全性、郷土への誇りや関心度とも深く関係する。まだまだ少ないとはいえ、北陸新幹線の開業前に、無電柱化のエリアが増え、景観が格段に向上したのは幸いだった。

 期待したいのは、地中化工事の大幅なコストダウンである。現在は国、地方自治体、電気事業者が3分の1ずつ費用負担するケースが多く、電線を共同溝に集約する工費は、1キロメートル当たり約5億3千万円かかり、電線・電柱の10~20倍といわれる。

 国土交通省はロンドンやパリなどで採用されている直接埋設方式の実証実験を進めており、この方法だと1キロメートル当たり8千万円で済むという。低コスト工法をテコに普及を加速してほしい。

 1995年1月の阪神大震災では電柱約8100本が倒壊した。2011年3月の東日本大震災では実に約5万6千本が倒れ、災害復旧の妨げとなった。電柱は普段でもベビーカーや車いすなどの障害となっており、無電柱化は歩行環境の改善にも役立つ。

 電柱は2012年段階で全国に約3552万本あり、年間約7万本のペースで増え続けているという。これを確実に減らしていく努力が必要だ。

習主席ダボス講演 自国経済の改革が重要

 中国の習近平国家主席が、世界の政財界トップが集う世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で基調講演を行い、自由貿易体制の重要性を強調しながら、中国を「為替操作国」と批判し保護主義的な動きをみせるトランプ次期米大統領をけん制し、世界経済を引っ張る中国の存在の大きさをアピールした。

 グローバル化が世界経済の成長に強力な力を与えたと述べ、反グローバル化の動きにクギを刺す習氏の主張はもっともであるが、中国自身がいまだ「市場経済国」と認められておらず、一層の自己改革が必要なことをあらためて認識してもらいたい。

 中国は2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟した際、15年間「非市場経済国」に位置づけられることを受け入れた。非市場経済国とは、政府が生産活動や製品価格、為替などを統制する国と規定される。中国は15年の期限終了(昨年末)と同時に自動的に市場経済国に認定されると主張しているが、米国と欧州連合(EU)、日本は認定を見送っている。

 その理由の一つは、国有企業による過剰な鉄鋼生産設備の削減が進まず、安値で輸出攻勢をかけていることだ。習氏もそのことを認識し、ダボス会議の講演で過剰生産の解消に努めると約束した。しかし、本来なら破綻すべき国有企業を国内事情のために存続させてきた中国当局への不信感は国際的に根強い。

 基幹産業の自動車やIT、金融などの分野で外資の参入は厳しく規制され、為替相場の変動幅も制限されている。さらに、中央銀行による為替介入も多いとされる。中国の昨年末の外貨準備高は3兆105億ドルで、この1年間で3200億ドル近く減少したのは、急激な元安の進行を防ぐため、外貨準備を取り崩してドル売り元買いの為替介入を繰り返したことが大きな要因とみられている。

 規制緩和を進め、市場経済を発展させてきたという中国側の主張に間違いはないとしても、世界の市場経済国は、公正さや自由度を欠く中国経済になお厳しい視線を注いでいる。