今日の社説

2018/07/18 00:42

外国人住民の増加 日本語教育の必要性高まる

 石川県内で外国人の住民が増えている。総務省の人口動態調査によると、2018年1月1日時点で外国人住民は前年より1321人増加し、1万3603人となった。日本人の住民が4550人減ったのと逆の動きになる背景には人手不足がある。労働力を確保するために外国人を雇う企業が増えているからだ。

 人手不足の深刻化に伴って外国人住民数は右肩上がりで伸びてきた。今年の人口動態調査では県内19市町のうち15市町で前年より増えており、外国人住民は県人口の1%を超えるまでになった。

 急増する外国人は地域社会になじめているのだろうか。職場でも地域でもトラブルを避けるためには意思疎通が大事になるが、外国人労働者の日本語能力は十分とは言えないのが実情だろう。

 今後、政府が外国人労働者の受け入れを増やすことを考えると、外国人に対する日本語教育の必要性は以前よりも高まっている。

 石川労働局によると、県内の外国人労働者は17年10月末時点で8599人に増えた。そのうち技能実習生は半数近くを占める。

 短期間で帰国する外国人技能実習生には日本語の学習意欲が高くない傾向がみられる。実習生が増えた企業では、日本人と会話する機会が減って日本語の上達が遅いという。実習生が受け入れ先から失踪する事例が後を絶たないのは、日本語能力が不足して意思疎通が十分でないことも影響しているのではないか。

 県の国際化推進委員会では、外国人労働者に対する日本語教育の重要性を指摘する意見が重ねて出された。日本語能力の向上は労働者の技能と生産性を上げるためにも欠かせない。企業にとって日本語の教育は負担が大きくても必要性が高い取り組みである。

 石川労働局が外国人技能実習生の受け入れ先を調べたところ、調査対象の7割以上の事業所で違法残業などの法令違反があった。こうした現状を改善しなければ、教育や管理は行き届かないだろう。

 外国人の雇用で便益を受ける企業には、地域社会に摩擦を生まないように配慮する責任がある。国と自治体には、外国人の増加に対応した施策が求められている。

米ロ首脳会談 米外交力の低下を懸念

 フィンランドでの米ロ首脳会談は、ロシアの米大統領選介入疑惑をめぐって両首脳が歩み寄る展開となった。トランプ大統領は、ロシア政府とトランプ陣営の共謀疑惑を全面否定するプーチン大統領に同調することで、自陣に降りかかる疑惑追及の火の粉を振り払った形である。

 しかし、自国の情報機関よりもロシア側の言い分を認め、「内政干渉」をいさめることもしないトランプ氏の対応に、米議会では与野党を問わず「背信的行為」「弱腰」といった批判が出ている。プーチン氏と個人的信頼関係を築くことができたとしても、米国の威信が揺らぎ、米国の外交力が低下する懸念を拭えない。

 トランプ氏は、昨年末に公表した国家安全保障戦略で、中国とともにロシアを、国際秩序の現状を変更する勢力(修正主義国家)と位置づけ、今年1月の一般教書演説では「強くて誇り高い米国」の建設を訴えた。こうした強い外交姿勢をプーチン氏との会談で打ち出せたのかどうか。

 トランプ氏は、米司法当局によるロシアの介入疑惑捜査を「魔女狩り」と表現し、「二大核保有国の関係を悪化させている」と批判している。首脳会談でプーチン氏の肩を持つまでして対ロ関係改善に踏み込んだ理由について、「平和を追求するために政治的リスクを取る」と説明しているが、米国の国益よりも「自己保身」を優先した印象も否めない。

 トランプ氏がロシアに取り込まれたとの受け止め方が広がっては、ロシアの脅威に対処する北大西洋条約機構(NATO)加盟国に不安を与える恐れもある。同盟国が期待するのはロシアに強い米国のはずである。

 また、国際社会の期待が、米ロの核軍縮にあることも忘れないでもらいたい。核不拡散の面では、北朝鮮の完全非核化実現に真剣に協力する必要がある。もし、北朝鮮の核兵器保有を認めることになれば、核の野心を持つ国が次々と核開発に動き、現在の核拡散防止条約(NPT)体制が崩壊しかねない。そうした事態は米ロにとっても悪夢であろう。